突然ですが、もし身近な人や患者さんに「死にたい」と言われたら、あなたはどう反応しますか?
精神科看護師である筆者が、自殺念慮を抱く人や自殺未遂者への初期対応として基本姿勢になる
「TALKの原則」について詳しく解説します。
「死にたい」は「死にたいくらいつらい」というSOSのサイン。
それを心に留めたうえで、「TALKの原則」に従って対応してみましょう。
・精神科看護師を考えている方
・看護師、看護学生
・家族や友人、大切な人から
【自殺や死】について告白された方
・大切な人を失いたくない方
自殺を取り扱った内容です。
苦手な方はご遠慮ください。
Tell(誠実な態度で話しかける)

はっきり言葉に出して
「あなたのことを心配している」と伝えます。
“命は大切”
“命を大切にしてほしい”
という言葉を私たち看護師は口にしがちです。
しかし、対応の場面で必要なのは
「あなたのことが心配」 「あなたが大切」
というメッセージをはっきり声に出して伝えること。

あなたの様子を見ていると、とても心配になります。
Ask(自殺についてはっきりと尋ねる)

誰かが自殺について初めて口にした時や死にたいと告白された時、大抵の人は動揺すると思います。
そして、自分の声掛けや対応の誤りが引き金を引いてしまい、その人を自殺に追い込んでしまうのではないかと恐れるのです。
その結果、死についての話題や自殺から注意を逸らそうとする試みを始めてしまいます。
ですがそれは誤り!!!!
自殺の危険が高まったとき、その思いが誰にも受け止められなかった場合には、行動に移るしかなくなります。
自殺の危険が高まったときこそ!
「自殺」や「死」について話題にする必要があるのです。
また、それが大事なことだと考えているというメッセージを伝えましょう。

どんな時に死にたいと思いますか?

死にたいと思っているの?
Listen(相手の訴えを傾聴する)

看護師には、自殺した気持ちに共感することが求められています。
そのためには受容的な態度で、訴えを全身で聴くことが重要です。
絶望的な気持ちを一生懸命受けとめ、聞き役に回り、徹底的に傾聴しましょう。
また、沈黙も有効活用するといいと思います。
沈黙=気まずい時間、ではなく大事なコミュニケーションツールです。
沈黙で相手が表現したいことを察知することも重要であり、 沈黙の時間を大切にすることがコミュニケーションの幅を広げます。

死にたいほど辛い気持ちでいるんですね。
Keep safe(安全を確保する)

この項目には2つの自柄が含まれます。
①本人の安全の確保
②周囲の協力
本人の安全の確保
本人の安全確保のために自殺の手段を遠ざけるための方法があります。
・危険物の確認をしていく
・持ち込み物品の制限とその物品のリスクを考える
・手段を一時的に遠ざけることを提案する
(危険物は家族に返却、ロッカーにいれる)
・ひとりにしない、頻回な訪室
他にも、現在の自殺に強く関与する心理状態や精神状態を落ち着ける方法を検討します。
・隔離処遇の検討や見直し
・他職種によるカウンセリングの実施
・必要に応じて頓服薬を使用
・話の傾聴
周囲の協力
自殺の危険の高い人に対応する人が一人で抱え込まないようにしましょう。
これは、自殺念慮をもつ人/自殺未遂者その人に求められることでもあります。
自殺念慮をもつ人/自殺未遂者は、支援者が常に周囲に援助を求めようとする態度から、本来とるべきあり方を学ぶでしょう。
最後に、このKeep safeには治療者・支援者自身も含まれるます。
そのときの決定が正しいのかどうか、周囲の人に助言や協力を求め「協議した」結果に基づく判断なのかが問われます。
自殺予防だけに限りませんが、看護の鉄則「報連相(報告、連絡、相談)」はここでも適用されます!
判断が自分ひとりの考えになるものなのか、ほかの誰かに相談を行ったうえでの結果なのかでは大きな違いがありますよね。
本当に必要なときに助言を求められるような環境を普段から作っておくと同時に、
自分が他の支援者からの相談に応じられるようにすることが重要です!!
まとめ
自殺念慮を抱く人や自殺未遂者への初期対応として基本姿勢になるのは
「TALKの原則」
Tell…誠実な態度で話しかける
Ask…自殺についてはっきりと尋ねる
Listen…相手の訴えを傾聴する
Keep safe…安全を確保する

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