躁病相にある患者さんはどのような問題が生じるのか、看護師の介入方法についてまとめてみました。
看護学生や精神看護に興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
うつ病の時と同様、
躁病相でも3つの時期に分かれています。
①急性期
②回復期
③維持期
それぞれの時期によって、問題点や看護介入の方法にポイントがあります。
今回の記事では維持期におけるポイントについてお話していきますね。
躁病急性期の看護についての記事はこちら↓
躁病回復期の看護についての記事はこちら↓

維持期に生じやすい看護問題

・怠薬のリスク
・軽躁状態の見逃し
躁病維持期の看護目標

・服薬の必要性を理解し、予防的服用を継続することができる
・再発のサインに気づき受診ができる
・活動と休息のバランスを考えた生活ができる
・家族や職場の人々が疾病に関する理解を深め、患者を受け入れることができる
看護介入及び看護計画
◎服薬の継続
◎受診の継続
◎家族への働きかけ
◎職場への働きかけ
服薬の継続

躁状態を脱した患者さんは、その後も長期にわたって薬剤の予防的服用を続けなければなりません。
退院後、症状が消失すると服薬の重要性を感じなくなってしまい、服薬を中断してしまうことがあります。
その結果、再発を引き起こし再入院という事態を招いてしまうのです。
退院する前に、医師・看護師・薬剤師から服薬の重要性についてお話し、
できるだけ入院を繰り返さなくてすむように対策をしていくことが大切です。

入院中、患者さんが薬についてどういう認識をもっているのか尋ねてみてください。
「本当は薬飲みたくないと思っていますか?」
「仕方なく飲んでいますか?」
「飲みにくいと感じる薬はありますか?」
などストレートに聞いてみましょう。
例えば
「錠剤が苦手で飲みたくない」
という意見があれば、同じ薬でも粉砕、貼付型、注射、液体、などに変更できる場合もあります。
内服する患者さんの気持ちに寄り添いながら、関わっていけるといいと思います。
他にも、精神科薬は副作用も出現しやすく、患者さんにとって不快になることも多いです。
副作用がみられた際に、自分の勝手な判断で服薬を中断するのではなく、必ず主治医に相談するように伝えましょう。
受診の継続

入院中に患者さん再発のサインについて話す機会を設けてください。
・いつも寝ている時間に寝付けない日が続く
・薬の飲み忘れや飲みたがらなくなる
・電話をかける回数が増える
・声が大きくなる
・服装が派手になったり露出が増える
・些細なことで怒るようになる
・浪費
・手紙やメモの書く量が増える
・食欲増進
・性的な発言が多くなる
などが挙げられます。
躁状態に移行してしまうと、本人は病識がなく受診に強く抵抗することがあります。
そのため、家族などの周囲の人も含め、躁状態に対する感受性を高めておきましょう。
軽躁状態の段階で受診することが悪化を防ぐことにつながります。
家族への働きかけ

家族に対する看護もとても重要です。
躁状態のサインとなる口調や身だしなみなどのちょっとした変化や服薬の継続の重要性について説明します。
特に軽躁状態は、本人が明るく、作業能力も良いため“調子が良い”と勘違いしてしまい、サインを見落としがちです。
“監視”にならないように気を付けながら
・継続的な服薬や受診の促し
・活動と睡眠(休息)のバランスがとれるような声掛けや環境調整
などが必要であることを伝えましょう。
また、患者さんの口調がきつくなったり、荒くなってきた際には、それに引き込まれないようにできるだけ穏やかに対応するように説明します。
退院後、家族が安心して患者さんとともに生活できるように、入院中から家族へ働きかけることが大切です。
職場への働きかけ

患者さんの職場の人たちは、発症時の患者さんの言動に対して恐怖心を抱き、患者さんの退院や復職に対して
“またあんな風になったらどうしよう”
と大きな不安を抱いています。
万が一、職場の人に聞かれた場合は
・服薬を継続していれば、問題は生じないこと
・言動に変化が見られた場合は本人にさりげなく調子を聞いてみてほしいこと
・困った際は病院に相談すること
を伝えておきます。
職場では産業医や産業保健師が中心になって介入することが多いと思います。
まとめ
躁病相維持期で起こりやすい問題
◎退院の要求が強くなる
◎家族や職場の受け入れ
看護介入及び看護計画
◎服薬の継続
◎受診の継続
◎家族への働きかけ
◎職場への働きかけ
看護師は患者に合わせた目標や看護計画を実施していきます。

コメント